新生マンモス・オンラインでは、子どもに関わる作品を手がける方々、子どもに関わる仕事をされている方々にその作品や仕事にかける思い、ご自身の子育てなどについてお話をうかがい、「マンモス・インタビュー」としてお届けします。本日は記念すべき第1回目です。
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チェコで生まれ世界中の子どもたちに愛されてきた絵本ちびとらちゃんが、アットアームズより発売中です。著者である、ヨゼフ・パレチェクさんとリブシェ・パレチコヴァーさんご夫妻にインタビューをさせていただきました。「ちびとらちゃん」のエピソードやおふたりの子育てについてお聞きしました。
(写真は、渋谷ロゴスギャラリーで開催された原画展、サイン会、映画館のトークショーの様子です。クリックすると大きく見えます。)

――「ちびとらちゃん」が誕生したきっかけ、またエピソードがあれば教えてください。
パレチコヴァーさん:人間というすべての人々は怖がりというのが前提で、子どもも同じ。ちょうどこの本を書いたときは、娘が7歳だったのですが、ほかのどの子も同じように、怖がりだったの。この「怖い」という気持ちをいつか克服しなければならない。その怖さをどうやって乗り越えればいいかということを娘に伝えたいと思いました。そして、「ちびとらちゃん」のアイデアが生まれました。
勇気のないトラが縞模様をとられたのですが、縞模様をとりかえすことで勇気も取り戻すという物語。とはいえ、昔から人間は、「怖い」という気持ちを持っていて、絶対に解消されることはないというのが前提ですが。勇気のメタファーとして何を使おうかと思った時に、縞模様がある、ないというのが子どもにとって非常に分かりやすいのではないかと思いました。

――「ちびとらちゃん」の絵本についてどう思いますか?
パレチコヴァーさん:自分の作品のなかで、よく思いついた、やったって思います。「ちびとらちゃん」のストーリーは、はじめはお芝居として書いたのです。しかし、舞台だとできることとできないことが限られるでしょう。絵本については、私のアイデアはほんとうに一部であって、その先は夫がものすごくいっぱいいろんなアイデアを加えてこの本が出来たのです。
パレチェクさん:でも、本当に妻のトラっていう思いつきがすばらしい。これが、ネコだったりほかの動物だったら、先のアイデアに結びつかなかったと思います。絵を描く立場で言えば、縞模様のあるトラとないトラというはっきり分かったものを描くというのが、とてもやりやすかったです。

―― 一度廃刊になった絵本が日本で復刊されるということについてはどう思いますか?
パレチコヴァーさん:「ちびとらちゃん」は、英語、フランス語、イタリア語、オランダ語など、いろんな言語に翻訳されました。長い年月経ってからの復刊については、この本について言えば昔作られた本ではあるのですが、この本の中に描かれている「恐怖を乗り越える」アイデアには、古くささを感じなかったのです。このテーマであれば今日でも十分通じると思ったので、復刊されることになってとても嬉しいです。
パレチェクさん:昔の本をそのまま出すのではなくて、出版元であるアットアームズが今の時代に合う表紙を考えてくれました。昔の読者と現在の読者はあまりにも時代・世代が違うのですが、今の世代にマッチしたものを考えてくれました。

―― おふたりが子育てをするときに、大切にしていたことがありますか?
パレチコヴァーさん:大事なのは、家族でモデルを持つ事。何のモデルかというと、モラルであるとか仕事についての考え方などです。小さい子どもが、最初に真似をするのは、自分の一番身近にいる親ですよね。どんな家族であるのかということを自然に吸収して大きくなって真似いくので、そうなったときに、何かをする姿勢があるのか、なるべく怠けているようにしているのか。それは子どもに伝わるし、そうなっちゃうでしょ。だから、神様から与えられた子どもをどういう風に大事に育てていくのかというと、自分たちがモデルになることだと思います。自分たちの娘(画家)について言えば、両親が感受性が強いので、家に居るときは分かりあえるんだけど、外の世界とのかかわりが大変でした。その反面、人生を豊かにしていると感じることもできるのです。両親が子どもに伝えられるメッセージとして大切なことは、どんなに周りの状況や自分にとって好ましくないものであったとしても、いやなものばっかりあると思うのではなくて、その中の美しいものを自分で選びとりなさい、それが分かる人になりなさい、そして自分の人生を豊かに生きなさいということですね。
――最後に、子育て中のパパとママに、アドバイスがあれば教えてください。
パレチコヴァーさん:私の考えですけど、お母さんに言えることはいいダンナさんを持つ事ね。お互い相談し合えるカップルになることですよ。自分が落ち込んでいるときに、彼が助けてくれるし、逆の時もそう。私たちは、お互いに力を合わせて困難を乗り越えるということをしてきました。でも、いいパー トナーを見つけることはほんとに大変だと思うわ。子どもが健康で元気であれば、それはそれですばらしくていいんだけど。
もうひとつ付け加えるとしたら、自分の仕事を持つ事が大切。日本の状況はどうなのか分からないのですが、生活の中での状況がもうダメだっていうことでも、ひとたび仕事に取りかかれば、ほかのいやな事は忘れて、仕事に没頭できるものです。仕事が終わったあとは、「あー終わったわ」って元気になっている自分に気がつくのです。日本のお母さんたちもそうしたらいいんじゃない。
パレチェクさん:子育ても人生も、ひとつの道じゃないので、夫婦でプラスマイナスを補いながら、楽しくやっていけばいいんじゃないでしょうか。要するに、夫婦が仲良くやっていれば、子どもたちは、いい思い出をもつのですから。

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(インフォメーション)
渋谷ロゴスギャラリーでの展示会の後、新作絵本「ちびとらちゃん」の原画展が神戸アートビレッジセンターで4月19日から5月6日まで展示決定!
パレチェクさんが美術を手掛けた作品「けしのみ太郎」を含んだ「ファンタスティック!チェコアニメ映画祭」は下記の通り開催されます。
金沢シネモンド 1/12(土)~25(金)
名古屋シネマテーク 1/26(土)~2/8(金)
札幌シアターキノ 2/16(土)~29(金)
静岡シネ・ギャラリー 3/8(土)~14(金)
大阪:シネマート心斎橋/シネ・ヌーヴォ 3/22(土)~4/4(金)
神戸:神戸アートビレッジセンター4/19(土)~5/6(火)
(※上記の展覧会と同じ日程です)
京都:京都シネマ 5月下旬予定
問い合わせ:アットアームズ 03-5405-4040
(プロフィール)

ヨゼフ・パレチェク:
1932年チェコスロヴァキアのイフラバに生まれる。プラハのカレル大学教育学部を出たあと、グラフィックアーティスト、画家、イラストレーターとして仕事を始め、その後タペストリー、モビール、壁のデザインなども手がける。
1973年、夫人のリブシェ・パレチコヴァ-と共に、ノルド・ズッド社に絵本の企画を提案し、最初の絵本を出版。現在では、オーストリア、スイス、日本など、世界27カ国、45社から絵本が出版されている。
チェコ文化庁の「最も美しい絵本賞」に何度も選ばれた彼の絵は、テキスト以上に読者に語りかけてくる力を持っている。
絵本の代表作に『ちいさなよるのおんがくかい』『イグナツとちょうちょ』などがあり、短編アニメーション映画『ちびとらちゃん』など、アニメーション作家としても活躍している。
リブシェ・パレチコヴァー:
1937年チェコスロヴァキアのプラハに生まれる。プラハ芸術アカデミー・演劇学部卒業後、演劇関係の仕事に就き、演出と舞台装置を手掛け、同時に実写映画のシナリオを書く。1970年に、夫のヨゼフ・パレチェクと共に、絵本を作り始める。自らが手がけた絵本『かばのティリーネック』『魔法の果樹園』をもとに、アニメーションの監督もつとめている。絵本の代表作は『ちいさなよるのおんがくかい』